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宮廻 裕樹 研究テーマ


主に,細胞や生体分子がつくる自己組織化構造に興味を持っており,その制御や設計に関する研究を行っています.
特に,自発的に運動をする物質であるアクティブ・マターや,分子周囲の環境に応じて多様に変形することができるソフトマターに注目し,それらの分子/細胞システムがつくる構造の制御や設計を目標としています.


トポロジカル欠陥に着目した細胞集団の配向構造の制御と設計

紡錘形の細胞は,増殖,遊走,配向をする一種のアクティブ・マターとみなすことができ,非平衡物理学や生物物理学の分野で近年注目されています.特に,細胞の増殖が進んで密度が高くなると細胞が特定の方向に配向する液晶分子のような振舞いを示し,細胞集団内にトポロジカル欠陥(配向角度が定義できない特異点)ができることが知られています.
トポロジカル欠陥は周囲の配向流れの分布を特徴づける特徴量であるだけでなく,かつアポトーシスなどの細胞の機能にも関与することが明らかになってきたため,欠陥がどこにできるかを予測したり,その生成位置を制御する技術が求められます.
これまでには,非対称な地形をつくることで欠陥の生成位置を誘導できることを実験的に示しました.現在は,細胞が存在する領域が与えられた場合に欠陥がどこに生成するかを予測する解法や,欠陥の位置を制御するための幾何形状の設計理論を主に関数論を用いて開発しています.複素関数論の種々の定理を用いることで,配向に関する物理量を見通しよく計算したり最適化したりすることが可能になります.生物,物理,数理の技術を融合することで,配向構造やトポロジカル欠陥に基づいた生物のかたちづくりを理解し,組織工学などへ応用することを目標としています.

トポロジカル欠陥
(左,中央)トポロジカル欠陥の種類 (右)円内の配向角度の計算例


関連発表:
  • 宮廻裕樹, 手島哲彦, 上野祐子, “地形ガイドによる細胞配向構造の制御に基づく心筋細胞の凝集誘導, ” 第80回応用物理学会秋季学術講演会, 19a-E202-7, 北海道大学札幌キャンパス(北海道), 2019.9.19. [招待講演]
  • 宮廻裕樹, 手島哲彦, 上野祐子, “第38回研究会優秀発表賞 物理境界の計算機支援設計に基づく細胞集団におけるトポロジカル欠陥の生成位置誘導,”化学とマイクロ・ナノシステム学会誌,Vol.18, No.1, pp.16-19, 2019.
  • Hiroki Miyazako, Tetsuhiko Teshima, Yuko Ueno, “Systematic Direction of Topological Defects in Cell Population by Computational Design of Geometrical Boundary,” 2018 MRS Fall Meeting & Exhibit, BM05.04.09, Boston, USA, Nov. 2018.